歌解説(民謡)記事一覧

民謡生活25周年記念アルバムに寄せて演奏家から見た三橋美智也     藤本e丈三橋美智也というのが北海道から来たらしいね。こんな話が放送局のスタジオで仕事の合間に又、民謡会の楽屋などで聞かれるようになった。 それは昭和28年と記憶している。そうこうしているうちに彼はよく弟さんといっしょに当時の拙宅文京の大塚に遊びに来るようになった。さらったりお互いに歌ってあわせたり、一つの曲をめたりで、私は当時は...

歌手生活25周年三橋美智也民謡の世界アルバムによせて民族遺産継承 三橋美智也の方向 文化庁が、1979年=昭和54年=から民謡の調査に乗り出すことになった。これは生活環境や産業構造の変化で、民謡やわらべ歌がどんどん姿を消している現状、また、生き残っている民謡でも、一部分は、歌謡曲に流れて、伝承されてきた昔からの正調が影を潜めようとしている実情を配慮してのもので、まず、六か年計画で、民謡わらべうたを...

三橋美智也と津軽の風土ことし(昭和53年)3月上旬、三橋美智也は津軽地方(日本海に近い地域)へ取材旅行を行った。津軽民謡の原点を探らんがためである。私もそれに同行したわけだが、三月といっても津軽の冬の終わりは厳しく、山越えの車が雪でしばしば立ち往生する始末だった。毛皮のコートに長靴といういでたちの三橋は、かなり強行スケジュールにも拘わらず、精力的に土地の古老の話や歌を録音し、カメラのシャッターを押...

歌手生活25周年 三橋美智也民謡の世界アルバムによせて三橋美智也というおのこ            八巻明彦三橋美智也といえば、私は決まって「嬉しがらせて…、という、あの甲高い歌声が耳の中でなりだします。故岡晴夫の「憧れのハワイ航路」をただ一つのレパートリーにしている私ですから、当然高音派で、同郷の親友を自称していながら、間違ってもフランク永井の持ち歌なんぞはうたえそうになく、といって三橋美智也の...

偉大な民謡歌手・三橋美智也  音楽文化研究家 長田暁二天才少年民謡歌手の出現三橋美智也は、昭和5年11月10日、北海道は函館の近くの上磯町で生まれた。幼児期に父亀蔵を落盤事故で失い、再婚したサツは虚弱体質だった美智也の将来を心配して、何か芸を見つけさせたいと5歳から厳しく民謡を教え込んだ。実は母は美声の上に、節回しのうまさは抜群で土地のスターだった。息子は母の懸命な稽古に応えて習得し、将来民謡手に...

るさとの訛りなつかし 停車場の人ごみの中に そを聞きに行く石川啄木がうたった故郷への郷愁は、そのまま日本民謡が持つ郷土性にも深いつながりがある。もともと民謡はその土地の生活感情からうまれてもので、郷土の詞や生産労働など、生活環境のあらゆる要素が織り込まれてつくられた日本人の歴史的な遺産ともいえる。民謡を古老のなぐさみと思い続けた都会の若い人々にも、「故郷」というものの価値観が高く評価されだすにつれ...

三橋民謡のことなど石塚義一郎昭和5年、北海道上磯郡に生まれ、5歳の頃から舞台に立って民謡をうたっていた三橋美智也は、母金谷サツさんの上手な民謡を子守唄として育ち、追分の名人といわれた叔父三浦為三郎氏のうたを肌でかんじながら、10歳の時には神童といわれる種の天才ぶりをしましてすでに頭角をあらわしていた。東北北海道には芸能集団が各地を巡業して技をきそい、今日の民謡の素地となるべき各種の唄がうたわれてい...

曲目解説    石塚義一郎北海道 ソーラン節 (北海道)元気な(ソーランソーラン)というかけ声によって手元にたぐりよせられる網の中の鰊。春の到来を告げる魚というので(告げ魚)とも書く鰊漁は、昆布とともに北海道の代表的な海の産業の一つです。建網にはいった鰊を枠網にあつめ、それをタモに組み上げて輸送船に移し替える沖揚げ作業の唄が(ソーラン節)です。(江差の5月は 江戸にもないと 誇る鰊の 春の海)(追...

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A新しい民謡をうたう作者のわからない古い民謡に対して、創作された民謡を一般に新民謡と呼んでいる。作詞作曲の明確な作者をもつ新民謡に対して、まったくわからないまま伝承されたものを単に民謡といっている。新民謡ブームとでもいうべき運動が盛んであったのは、昭和初年ゴロで、作詞者に北原白秋、野口雨情、西条八十、作曲者に中山晋平、藤井清水といった人々の活躍によるものであった。新民謡の多くは観光地、温泉地など選...

明治大学日本民謡研究会といっしょに明治大学民謡研究会は、今年で16年もむかえる。過去15年間に。日本各地をめぐって民謡の歴史、民層を育てた社会の研究、民謡に対する地方の意識調査等、多方面にわたる研究旅行を実施してきた学生中心の研究会である。もちろん三味線、尺八も習い、唄も研究して唄っているが、学問的に民謡を分析しながら、民謡成立とその背景とを探求しようという目的をもっている。学生としての民謡観を三...