三橋美智也が歌ったレコードは民謡舞踊の世界で重用された。 民謡舞踊は、いわゆる日舞(=日本舞踊)とは違う。「踊り」のお稽古場でレコードをかけた。 それはビデオやカセットレコーダー以前の時代で、当時はプロや愛好家向けにオープンリール式テープレコーダーがあったが、それは高価すぎて一般的ではなかった。音源といえばレコードだった。 レコード盤を1分間に33回転あるいは45回転の速さで回転させるレコードプレーヤーがよく売れた。 昭和40年代、民謡のレコードは45回転のものが多かった。 回転が速いほど音声の周波数帯域が広くなり信号数も多くなるので、音声が高音質になる。三橋の唄は歌唱を聴いて楽しむだけでなく踊るためにも必要とされたから、三橋の作品は他の追随を許さないほど売れたのである。