「ちょっとお話しませんか」の作曲の北沢美智也は、三橋美智也さんのことです。
なぜ北沢を名乗っていたかというと、三橋美智也さんの「ミッチーの人生演歌」をみていただけばわかりますが、
三橋美智也さんは、まだ歌手として活躍していない前に、北沢夫妻におせわになり、子供のいなかった北沢家の養子になりました。
北沢夫妻が三橋美智也さんの真面目でやさしい人柄に惚れたのでした。その後、三橋に戻っています。
作詞者の山川啓介さんは、作詞家・脚本家・音楽構成家・舞台構成家・訳詞家として活躍。「北風小僧の寒太郎」など「おかあさんといっしょ」の音楽や、岩崎宏美などのアイドルや、矢沢永吉のヒット曲を多作しています。アニメ音楽も多作しています。
「ちょっとお話しませんか」は、三橋美智也さんにぴったりな、他者へのやさしさと、ふるさとへの愛に満ちたフォーク調の素晴らしい歌です。
三橋美智也さんはどのように歌っているでしょうか。
「ちょっとおはなし しぃまぁせぇんかぁー」
ビブラート
「まちにつかれた もんのどうしぃ」
「いしのべんちに こしかけてぇ」
「たばこいっぽん わけあってーぇぇぇぇ」
語呂
「ふるさとはぁ ふるさとはぁ どーぉこですかぁー」
スラー
「かえりたくーぅ かえりたくーぅ なーぁいでぇすぅかぁー」
三橋美智也さんは、故郷を離れて都会のあちこちに孤独をかかえながら住む人たちへ、共感をこめて歌っています
「ちょっとお話しませんか」とよびかけることで、一瞬の交流がうまれ、孤独な心を慰め合う。
都会の片隅にうまれたひとときのこころあたたまるフォークロアのようです。
昭和47年のうたです。
この年は、田中角栄が「日本列島改造論」を発表、7月に第一次田中角栄内閣が成立しました。
歌謡界はぴんからトリオの「女のみち」のド演歌の大ヒットもありましたが、一般には、演歌臭の希薄な小柳ルミ子さんの「瀬戸の花嫁」、フォーク調の吉田拓郎さんの「旅の宿」や「結婚しようよ」などが流行っていました。
三橋美智也さんの歌い方も、演歌調ではなくて、リズムにのって、軽やかです。